人間の本質は必ず九つに分類できる
エニアグラムで「本当の自分」を知り、また、相手を知ることで、より良い人間関係のために活かしていく。
そんな「人生の地図」として書かれたのが、「9つの性格」(著者:鈴木秀子)です。
本書が刊行されたのは、1997年で、シリーズ累計88万部と言われるベストセラーです。
私は、大学生のときに本書と出会い、多くの発見と少しの自信を得ました。
「タイプ」を知ることが話の中心ですので、就職活動での本格的な自己分析にはなじまないかもしれませんが、読みやすいので、自己分析の入門編としてもお勧めの1冊です。
自分のタイプを想定する
本書では、最初に自分のタイプを想定するために、9つのタイプに関する各20の質問にイエスかノーで答えます。
そして、イエスの数の多さなどから、自分のタイプを想定していく流れです。
しかし、多くの人は全く、あるいは部分的に違うと感じるだろうと書かれており、それには以下のようなことが考えられるとされています。
- 想定したタイプが間違っている
- 自分の本質を理解していない、あるいは認めたがらない
- 後天的な矯正によって、本質が歪められている

ああ、そういうことか・・・。
私は、大学生のときに本書を購入して初めてやってみたとき、完全なタイプ5(知識を得て観察する人)でした。しかし、「自分の感情を表現することが苦手なこと」、「何ということもない会話をするのが苦手なこと」など、当たっているだけに、自分の本質を認めたくないという思いがありました。
また、就職活動でつまづいて自分を見つめ直した結果、何とか就職し、社会人として働いている今あらためてやってみると、タイプ3のイエスが最も多くなっていました。
「成功を追い求める人」であるタイプ3は、「効率性を重んじ、成功をめざして仕事に臨むタイプ」のため、企業はタイプ3的な能力を伸ばしていくことを目指して社内教育を行うことが多いそうです。


ですので、私の場合はまさに後天的な矯正によって歪められた可能性が高いと感じました。
まあ、私の場合は社内教育の結果ではなく、就職活動でなかなか内定がもらえず、追い詰められて自分を見つめ直した過程で変わっていった可能性が高いような気はしますが。
囚われを知る
人はみんな魅力や長所と同時に短所も持っています。そして、その短所(問題点)は苦境に置かれたときほど強調される傾向にあります。
この問題点の原動力になる「囚われ」を知ることで、自分に優しくなれ、人も理解することができるようになるということです。
自分に優しくなれる
誰でも自分の嫌いな部分ってありますよね。
私の場合は、たとえば人見知りなところで、人と親しくなるのに時間がかかることが多くありました。
そのため、誰とでも気さくに話ができる社交的な友人のことがうらやましく思えたりすることも。
しかし、本書には、次のように書かれていました。
例えば、タイプ5の人は「私はどうも集団に溶け込めず、人付き合いが億劫で、ネクラと思われがちだ。」という悩みをもっているケースが多い。
(中略)
(エニアグラムによって、それがタイプ5の「囚われ」から来るものであることが分かれば)それは単なる個性なのだということを認識するようになる。
「9つの性格」(鈴木 秀子)
上記も含めて、他のタイプにもそれぞれの長所・短所があること、同じタイプの人が9人に1人はいるということが分かり、気持ちが楽になったことを覚えています。



九人九色ですね。
人への理解につながる
「囚われ」を知ることで、人への理解にもつながります。
たとえば、よく頭ごなしに怒鳴る上司も、その態度がタイプ8(強さを求め、自己を主張する人)の弱みを見せたくないと言う「囚われ」によるものだと分かれば、恐れる必要はなく、その対処法も得られると。


また、頼れるリーダーであるタイプ3の上司が、仕事が失敗しそうになると、部下のあら探しをしたり、責任転嫁的な言動が見られたりする例についても書かれています。
そういえば、尊敬できる上司だった人が、立場や状況が変わって、今まで見えていなかった面がいろいろ見えたりすることもありました。まあ、あるあるかもしれませんが。
そんなときに、お互いの「囚われ」を理解することができていれば、また違うかたちがあったのかもしれない。あらためて読んで、そんなことを思いました。
積極的な自己改革
「囚われ」を知った上で、囚われる誘惑に逆らうことで、より良い方向に向かうことができます。
具体的には、関係のあるタイプの良い面を取り入れることです。
例えば、タイプ5(知識を得て観察する人)は、タイプ8(強さを求め自己を主張する人)の良い面を取り入れることで、他者と積極的に関わる、行動的になるなど、安定した良い状態を保つことができます。
ここで、今までそれぞれ別だと思っていたタイプが、それぞれ影響を与え合っていることが分かりました。
例えば、一般的に社交的なイメージのタイプ7(楽しさを求め計画する人)は、タイプ5の良い面を取り入れることでより良い状態を保つことができるとされています。
そういうふうに考えると、今までうらやましく思っていた(おそらくタイプ7と思われる)社交的な友人にも、自分と過ごした時間の中で、もしかしたら自分が与えられた影響が何かあったのかもしれない。
もしそうだったらいいな、とあらためて感じました。
人間関係の変革
上で、「囚われ」を知ることで人への理解にもつながるとお話ししましたが、本書では、各タイプとのコミュニケーションの方法のポイントについても、同僚・部下、上司、それぞれについて書かれています。
それを知るメリットは、次のようなものです。
- あなたの価値観や感受性が他者と異なることに気付けること
- 他人の行動を、観察の視点で気楽に眺める余裕ができること
そして、目的は、他者の内面を理解し、他者を思いやるためです。
「相互理解」って口でいうほど簡単なことではありませんよね。
それでも、相手のことを理解しようとする姿勢は大切だと思います。
まあ、実際、本書にも書かれているとおり、自分のことも分からない中で、相手のタイプまで知ることは本当に難しいんですが。
異なる個性が組織を活性化する
組織を構成する人間の、それぞれの色を生かしながら、必要に応じて、あらゆる色彩をつくり出していく。
これが理想的で最強の組織のイメージだ。
「9つの性格」(著者:鈴木 秀子
それぞれのタイプの特性が生かされるときに会社は発展し、組織は活性化される。


たとえば、タイプ7(楽しさを求め計画する人)が提案したプロジェクトを、タイプ5(知識を得て観察する人)が冷静に基盤を築く。そしてタイプ4(特別な存在であろうとする人)がインスピレーションをその基盤に加え・・・といった感じです。
やっぱり、いろいろな人がいて、組織は上手く回るんですね。
また、エニアグラムでは、同じタイプの人同士は結婚しないと言われています。理由は、嫌な面が同質であったり、憂鬱な気分が同時にきたりするためだそうです。
そういえば、私は意外にタイプ7と思われる社交的な友人が多いです。今までは、自分から声をかけない分、声をかけてくれる人と仲良くなることが多いのかと思っていましたが(もちろんそれもあると思いますが)、タイプが違うことで上手くいっていたところもあったのかもしれません。
まとめ
以上、「9つの性格」(著者:鈴木秀子)について、ポイントや、私が感じたことなどをまとめてみました。
冒頭お話ししたとおり、本書は本格的な自己分析にはなじまないかもしれませんが、自分がどのタイプに当てはまるか分かれば、強みや欠点が見つけやすくなるため、面接対策で活かせる部分もあると思います。
読みやすいため、これから自己分析を始める方にお勧めの1冊です。
なお、本書はAudible(オーディブル)の聴き放題対象作品ですので、Audibleを利用していれば無料で聴くことができます。
Audibleは、会員になった後、最初の30日間は無料です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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