前田裕二さんの著書、「メモの魔力」。ベストセラーであると同時に、自己分析にお勧めの本としても有名ですよね。
今回の記事では、この「メモの魔力」について、内容のポイントを簡単に押さえた上で、就活時に行う自己分析の本として活用できるのかなど、私が感じたことについてお話ししたいと思います。
なお、結論からお話しすると、私は就職活動に「大いに活用できる」と考えています。ポイントは、「抽象化 → 転用」です。
本書の概要
最初に、本書の概要(ポイント)についてお話しします。
まず、メモには👇の2種類があります。
- 記録のためのメモ
- 知的生産のためのメモ
このうち、本書で取り上げられているのは「知的生産のためのメモ」です。
理由は、「記録のためのメモ」はコンピュータでもできますが、新しいアイデアや付加価値を生み出すためにメモを取ることは人間にしかできないからです。
ファクト(事実) → 抽象化 → 転用
知的生産のために必要になるのが「ファクト(事実) → 抽象化 → 転用」で、具体的な流れは👇です。
- インプットした「ファクト」をもとに、
- 気づきを応用可能な粒度に「抽象化」し、
- 自らのアクションに「転用」する
抽象化?転用?
本書での「抽象化」とは、「ここから何か言えることはないか、そこに気付きはないか。」といった思考作業のことです(具体的には、後でお話しします)。
また、「転用」とは、「抽象化して得た気づきをもとに、アクションを立てること」です。
「抽象化」の3類型
具体的には?
本書では、「抽象化」について、「What型」、「How型」、「Why型」の3つの類型に分けて説明されており、それぞれに具体的な例が紹介されています。
この3類型のうち、特に価値が高いとされているのが、「How型」と「Why型」です。理由は、他の事象への転用可能性が高いからです。
まず、「How型」とは、「どんな」を切り口に、特徴を抽出する方法で、具体的には👇のようなものです。
- ファクト
- ポケモンで、相手の属性に合った攻撃をすると効果が増す
- 抽象化
- 相手に応じて攻撃方法を変えると効果的
- 転用
- 面接でも、面接官の特徴に応じて話す内容を変える
次に、「Why型」とは、「なぜ」を切り口に、理由を抽出する方法で、具体的には👇のようなものです。
- ファクト
- 低予算で作られた映画「カメラを止めるな!」がヒットした
- 抽象化
- ヒットには「落差」や「共感」が重要
- 転用
- 自社の事業のキャンペーンにも落差と共感を入れ込む
これらの型を意識しながら、抽象化→転用を行っていきます。
メモで自分を知る
その後、本書の話は「メモで自分を知ること」について展開されていきます。
これについて、私は本書を初めて読んだとき、「メモ術」と「自己分析、自己実現」などに関する話の、大きく2つの話で展開されているのかと思ったのですが、実際にはつながっているんですね。
つまり、単にメモや抽象化の技法を学んでも、「自分が何をやりたいか」が明確でなければ意味がない。だから、「自分を串刺しにする本質的な人生の軸」を見つけること、それを「メモの魔力」によって解決していこうと。
そして、自己分析は、「形式」よりも「熱量」が大切との思いから、「自己分析1000問」が用意されています。
これに取り組む際、単に質問に答えていくだけではなく、一つひとつの答えに対して「抽象化 → 転用」していくことで、最大限の効果を発揮するのです。
就活時における自己分析に活用できるか
ここまで、「メモの魔力」を読んで私なりに理解した内容について、そのポイントを一部お話ししました。
この後、本書では「メモで夢をかなえるための方法」などに関する話が続いていきますし、本書には各項目における具体的な内容などが多数掲載されていますので、ぜひ一度手に取ってお読みいただきたい1冊です。
ここからは、本書が「就活時における自己分析に活用できるか」どうかについて、私が感じたところをお話ししたいと思います。
結論からお伝えすると、「大いに活用できる」と思います。ただし、簡単ではありませんが。
自己分析を1000問もやるの?
自己分析の精度が量に比例して高まることは間違いないと思いますので、「自己分析1000問」はできるのであればやったほうがよいとは思います。
ただ、本書が就活時の自己分析に適していると私が思う一番の理由は、上でもお話ししました、「抽象化(→転用)」です。
たとえば、本書の中で、「前田さん(著者)の長所は?」と聞かれた場合の例が挙げられています。
- 回答
- 圧倒的努力を可能にする熱量
- 具体的に
- 受験のときに1日〇時間勉強
- 毎日朝の5時まで仕事をしている
- 抽象化
- 運命に対する憤り
8歳で両親を亡くしたという逆境の中で、その運命に打ち克って、逆境自体を絶対に正当化してやる、という強い感情が努力の背景になっていそうだと考え、それを「運命に対する憤り」と表現されています。
ここで就活の面接について考えてみると、たとえば自分の長所について聞かれたときに、「努力できるところです」とだけ答えても説得力に欠けますので、まず、上のような具体的な体験談を添えて話す必要があります。
ここまでは私も就活当時にやっていました。具体的には、たとえば、「相手の話を聞く姿勢を大切にしている」という回答に、友人から悩みの相談を受けたときの具体的なエピソード(その友人が本当はどうしたいのか、ということを中心に話を聞いていった結果、もう一度がんばってみるという結論を本人が自分で出したことなど)を添えて話したりしました。
ただ、特にそれ以上掘り下げて考えてみたりすることはありませんでした。
しかし、今あらためて考えてみると、この「相手の話を聞く姿勢を大切にしている」ということにはおそらく理由があります。それは、私が社交的な性格ではなかったことによるものです。
人と話すことが得意ではなかったからこそ、話しかけてきてくれたなど、自分と関わりができた人は大切にしたい。だからこそ、無意識のうちに、相手の話を聞く姿勢を大切にしてきたのだろう。そんなふうに今は思います。
たとえ、そのことを面接で言わなかったとしても、その前提を自分自身理解した上で話をするのと、理解せずに話をするのでは、伝え方や、掘り下げて質問されたときの答え方なども変わってくるのではないか。
そんなことを考えると、自己分析を行うときに、常に「抽象化」を意識しておくことは本当に大切なのではないか。たとえ「自己分析1000問」をやりとげられなかったとしても、この本を読んでおくことの意味はまさにそこにあるのではないかと思います。
もちろん、「自己分析1000問」について、全て、抽象化も含めてやりとげれば、自分を深く理解できることは間違いなく、著者が実際に回答した例として挙がっている👇のような回答も夢ではないと思います。
(「好きな色は何ですか?」と聞かれたときに)
色については結構考えていて、実は3色あります。青と紺と黒です。どれか選んでいただければ、なぜその色が好きか、お話しします。
もちろん、そこまでやりきるにはかなりの熱量が必要になることは間違いありませんが。
まとめ
以上、「メモの魔力」について、内容のポイントを簡単に押さえた上で、就活時に行う自己分析の本として活用できるのかなど、私が感じたことについてお話ししました。
ぜひ「抽象化 → 転用」の考え方を取り入れて、就活時の自己分析や、今後の夢の実現に役立ててください。私もこれから実践していきたいと思います。
なお、本書はAudible(オーディブル)の聴き放題対象作品ですので、Audibleを利用していれば無料で聴くことができます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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